こんにちは。
ゆなかほのです。
透析経験が初めてで穿刺が不安な方へ。
8年間透析勤務をして私が穿刺について学んだことをお伝えします。
「透析の穿刺が上手くなるにはどうしたらいいんだろう?」
透析看護師が誰しも思うことですよね。
結論は「少しずつ着実に経験を重ねていく」ことです。
慌てずゆっくり。
穿刺の準備や心構え、コツなど、私が感じて実践していることを記します。
明日からの臨床で少しでも役立てば嬉しく思います。
透析患者さんとの信頼関係を築く

まずはここから。
よく知らない人に針を刺されるのは不安ですよね。
穿刺は、名前と顔を覚えてもらいコミュニケーションをとってから。
私が透析看護師になったばかりの頃、そう教えてもらいました。
透析患者さんとのお付き合いは長いです。
信頼関係を築いておきましょう。
スタッフがどのように穿刺しているか観察する
スタッフの穿刺をしっかり観察しましょう。
スタッフが血管のどこを観ているか、針を刺入するときに血管をどのように固定しているか、刺入角度などよく見ておきましょう。
自分が穿刺することをイメージしながら観察するといいと思います。
シャントの観察をする

シャントは患者さん一人ひとり違います。
まずは、シャント音を聴いたり、手で触れてスリルの感触や血管の弾力や走行などの観察をさせてもらいましょう。
シャントの観察をしながらコミュニケーションをとることで、患者さん自身からシャントについての貴重な情報をもらえることがあります。
患者さんの性格もだんだんわかってきます。
穿刺準備から透析開始までの流れをイメージできる
穿刺に伴う一連の流れを理解しましょう。
穿刺前の準備から透析を開始するまでの流れを理解して、抗凝固剤を入れるタイミングや透析機器の操作を覚えていきましょう。
スタッフが透析を開始するまでの一連の動作を見ながら、イメージトレーニングを重ねていきます。
スッタフの動作と自分のイメージが一致するようになったら次の段階に進んでいけると思います。
穿刺以外の透析開始までの手技を習得する
次に、穿刺以外の透析開始までの手技を実践し習得していきましょう。
はじめはスタッフの助言をもらいながら行います。
安全に行うためです。
初めて自分で透析機器を扱う時は、緊張して頭が真っ白になってしまうことがあります。
手技を習得するまではアクシデントに対応するのは難しいと思います。
ゆっくり慌てず安全に透析機器の操作に慣れていきましょう。
穿刺をする前にまずは穿刺以外の手技を習得しておく必要があります。

抜針と止血の手技を習得する
実際に針に慣れるために、まずは抜針から始めるのが良いと思います。
抜針の際は、血管を痛めないように気をつけながら針を抜きます。
針を抜くときに、シャントから出血する様子や、普通の血管との違いを体感できます。
シャントの感覚や針の扱いに慣れていきましょう。
スタッフがどこに針を刺しているかや、針の固定の仕方などもわかります。
止血にかかる時間にも個人差があります。
抜針と止血の手技を習得していきましょう。
穿刺部位を考えるのは他の準備を整えてから
いよいよ穿刺です。
まずはシャントの観察をします。
シャントの狭窄や閉塞がないことを確認したら、穿刺前の準備をしていきます。
体重、除水量の確認、透析機器の設定、患者さんの体調やバイタルサインの確認など、滞りなく準備をしていきましょう。
すべて準備が整ってから、どのように穿刺するか考えましょう。
準備をする前にシャントに穿刺してしまうと、事故のもととなり危険なので必ず準備を整えてから穿刺しましょう。
穿刺してから、慌てて準備することのないように気をつけてください。
穿刺しやすい同じ患者さんで手技を習得する
慣れるまでは、穿刺しやすい同じ患者さんで手技を習得しましょう。
シャントに太い針を刺すことは看護師にとってもストレスです。
穿刺に関する一連の手技を習得して慣れるまでは、比較的穿刺が容易でコミュニケーションの取りやすい方のところで行うのがいいと思います。
きっと周りのスタッフが穿刺しやすい患者さんを教えてくれると思います。
難しそうな時は無理をしない

初めのうちは、ちょっと難しそうだなと感じたら無理をしないことも大切です。
そんな時は、他のスタッフにアドバイスを求めたり、穿刺を変わってもらって見学するのもいいと思います。
血管の確認と穿刺時の固定
穿刺前に血管の走行や深さ、弾力などを手で触れてよく観察し、針をどのように留置するかイメージしましょう。
穿刺をするときに、血管が逃げない(左右に動いてしまわない)ように穿刺する反対の手で血管を固定すると成功率が高まります。
穿刺に失敗しても慌てない(不安を与えない)

細心の注意を払っていても穿刺に失敗してしまうことはあります。
そんな時は、慌てず落ち着いて患者さんに不安を与えないように対応しましょう。
自分ひとりでの対応が難しいときは、周りのスタッフを呼んで安全第一で行動することが大切です。
穿刺の失敗による内出血の拡大や回路内凝血などの二次被害を防止しましょう。
今、どういう状況なのか患者さんに説明して不安を解消してあげてください。
ひとりずつ穿刺できる患者さんを増やしていく
穿刺に関する手技を習得したらひとりずつ穿刺できる患者さんを増やしていきましょう。
これは一人ずつ増やすしかないと思います。
時間をかけて焦らずゆっくりと。
徐々に難しい患者さんの穿刺に挑戦する

穿刺に慣れて、不安も軽減し、失敗も少なくなってきたら、徐々に穿刺の難しい患者さんに挑戦することをお勧めします。
穿刺が上手くなるには経験を積むしかないと思っています。
しかし、穿刺に失敗するとシャントにダメージを与えるため、まだ穿刺技術が未熟だったり自信のない時は、他のスタッフに任せることも必要な場合があります。
穿刺の難しい患者さんはすでにシャントにダメージを受けていたり、失敗すると再穿刺がさらに困難になることもあるため、他のスタッフに相談しながら進めていくのが良いと思います。
患者さんのシャントの状態を見ながら、自分の技術を高めるために経験を積んでいきましょう。
再穿刺がひとりでできるようになったら一人前

穿刺に失敗した時は、針先や回路が凝血しないように処置をすることが必要になることがあります。
落ち着いて冷静に判断し対処してから再穿刺に望まなけれはなりません。
再穿刺する時は、「これ以上失敗できない」というプレッシャーもあります。
再穿刺の際、他のスタッフの援助を求めても難しい状況の時があります。
そんな時、慌てず冷静に判断して対処し、一人で再穿刺を行い、安全に透析治療を開始することができるようになれば、「穿刺をひとりで行えるようになった」と言えるのではないでしょうか。
透析は小さなミスが大きな事故につながるため、慢心せず慎重に行うことが大切だと思います。
まとめ

経験を積んでも穿刺に失敗することはあります。
でも、その時にきちんと対応できれば、それは失敗ではなく再穿刺したという出来事だと思っています。
本当の意味での失敗は、きちんと穿刺できているか不安なまま、確かめずにそのまま血液ポンプを回してしまうことだと思います。
血液ポンプを使うため、漏れると大きく腫れてしまい内出血が拡がります。
穿刺部位や静脈圧などを確認しながら慎重に血流を上げていきましょう。
再穿刺することになっても、被害を最小限に抑えて、透析治療を始められたのならば失敗したと落ち込む必要はないと思っています。次の穿刺の成功に繋げていきましょう。
患者さんのシャントを大切にする気持ちを持って対応しましょう。看護師やスタッフの気持ちは患者さんに伝わります。
穿刺が上手になるには経験を重ねていくしかありません。
ゆっくり少しずつ穿刺のコツを習得していきましょう。
穿刺に失敗したら、しばらく日をおいて、気持ちを切り替えながらタイミングをみて再挑戦していきましょう。
「穿刺がプレッシャー」
「透析機器を扱うのが怖い。緊張する」
その気持ちはネガティブなものではなく、細心の注意を払うための慎重さには必要なことだと思います。

スタッフと協力しながら少しずつ頑張っていきましょう!
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